21世紀になって、小児では
（１） 食べ物アレルギー、そして
（２） 小児に今まで通りの輸液をすると、低ナトリウム血症になる、
（３） 発達障害児が増加しているなど、
20世紀になかったことが多発していることです。大人も基本的には同様な状況が起こっていると思います。21世紀を健康に生きるためには幅広い知識が必要です。 そこで漢方薬の治療の前にしなければならないことを述べてみたいと思います。以下は私が漢方薬の基礎工事と称して、すべての患者さんに話していることです。
　① 冷たいものは極力控える。
　② ヌチマース（沖縄の塩）を最低5gは摂取する。
　③ フラクトオリゴ糖を1日10gは摂取すること。
　④ 睡眠を最低７時間とる。

• ① まず冷たいものは極力控えるから。 ㋐私は10年近く前に福岡で中国人から次のように言われました。 「中国人は食事は温かいスープを摂ってから始めます。冷たいビールなどは絶対飲みませんよ。」 そして７月に北京を旅行した日本人の話、「北京の自動販売機からはぬるい飲み物しか出なかった。」
  ㋑7，8年年前、中学生が朝１０時半に「熱中症」ということで受診。教員が３人で連れてきた。診察時、顔色はやや不良。「水はどのくらい飲んだ。」「約５００ｃｃ。」 朝から１時間半ぐらいで飲んでいた。しか も氷水であった。これを私は「冷中症」と呼んでいます。
  ㋒１０年前、TVで放送された。東日本大震災後、省エネのため若い夫婦がクーラーを止めた。しかし暑くて冷たい水をたくさん飲んだ。ご主人は３日目に寝込んだ。
  ㋓ある横綱が虫垂炎の手術後（麻酔・手術で腹が冷えていた）に、覚醒後、喉が渇き、禁止されていたが、冷たいサイダー１本をラッパ飲みした直後に、「美味かった」と言い残して倒れ、すぐに息を引き取ったという話がある。著名な漢方薬剤師は記している。「心臓に寒が到達すれば死ぬ。」
  ㋔胃透視でも冷たいバリウムを飲むと胃の動きがぴたりと止まる。胃腸は体のエンジン、それを冷やし過ぎたので、エンストしたのです。
  これから暑くなると、ＮＨＫが「水をこまめに摂りましょう」と毎日アナウンスします。すると国民は冷たい水の方が良いと思って、氷水を摂ります。ところが飲んだ冷たい水分は胃が動かないため吸収されず、胃に残ったままになり、特に老人は朝方状態が悪くなる可能性があります。 ＮＨＫが「白湯と塩分」を摂るようにアナウンスすれば、熱中症といわれている多くの老人を助けられるのではないでしょうか。 「冷たい飲み物はとるな」という中国人が書いた本があります。また米ロサンゼルス・タイムズ紙には「嘘のようなホントの話　：　 中国で飲み物と言えば白湯だけ」と題する文章が掲載されるなど社会に定着しているということです。 中国人には昔の生活の知恵がまだ残っているようです。 中国人は㋐冷たいのは摂らない、㋑欧米並みに8時間睡眠、㋒太極拳をする。とても良い生活習慣です。 日本人には昔の知恵がほとんどなくなったようです。
• ② ヌチマース（沖縄の塩）を最低５ｇは摂取する。 地球上のミネラルは１００年前の１/１０以下になっています（１９９２年アースサミット）。つまり１０倍食べないと１００年前の人類が摂取していたミネラルを摂れないのです。地球が疲弊しています。その上に住んでいる人類、動物すべて弱っています。 さらに日本以外の国々は岩塩、天日製塩を摂っていますが、日本だけは工業用の塩が調味料には入っています。ヌチマースは世界で最高の塩です（雪塩もほぼ同等）。ミネラルを７５％も含んでいて、奇跡の塩と呼べます。1日5～10g、20円～40円です。
  
• ➂フラクトオリゴ糖を1日１０ｇは摂取すること。 このことは「コロナに殺されないたった１の方法」という本からから知りました。2020年11月から摂取しています。著者の東大農学部名誉教授のブログ「薬を使わないで糖尿病、高血圧、花粉症、・・・を治す」に詳しく書かれています。この内容通りにはいかなくても「腸管力」が強くなります。「食物アレルギーが簡単に治る」などの記事もあります。 1年前アマゾンランキングでもこの本は、ほとんど10位～20位以内にありますので多くの国民が服用していると考えられます。 著者小柳津先生が記載していますが、フラクトオリゴ糖を摂取すれば6時間後には酪酸が生成され、免疫が活性化するようです。確かに１０gを一度に摂取すると、２時間後にはガスが良く出ます。「花粉症は１日で治る」という本にも書いていますが、中には２時間で止まったという人もいるようです。 コロナ患者は腸内環境が乱れ、酪酸菌が少ないので、制御性Ｔ細胞が少なく、そのためにサイトカインストームが引き起こされています。 「腸がすべて」いう本が昨年暮れ出版されています。しかし正しくは「腸内細菌がすべて」と思います。さらには「酪酸菌とフラクトオリゴ糖が要」といえます。酪酸が遺伝子さえも左右するという研究結果も見られます。酪酸を作り出せる腸内細菌は酪酸菌だけで、その餌がフラクトオリゴ糖です。制御性Ｔ細胞が酪酸によって活性化することは東大などの研究グループで確定され ています。フラクトオリゴ糖－酪酸菌－酪酸の関係を認識しているのは小柳津先生だけのようです。制御性Ｔ細胞を発見した坂口史文先生（ノーベル賞候補と言われています）もこの細胞を活性化する方法を研究している段階です。
  
• ④7時間以上の睡眠をとる。 欧米と中国人は8時間、日本人は7時間以下です。世界で100番目です。睡眠不足は種々の症状をもたらします。十分な良い睡眠がとれないと昼間の活動の能率が低下し、そのためにさらに睡眠不足となることがあります。 癌細胞は毎日5000個できているといわれていますが、免疫細胞は活動時ではなく、寝ている間に癌細胞を食べていると思います。睡眠が少ないと、癌細胞を食べ残して起きてくることになります。ヨーロッパでは癌の発生数が減少していますが、日本では癌も難病も増加しています。睡眠が最も大事と考えてください。
  

以上が漢方治療の前に説明している、私の漢方治療の基礎工事です。
21世紀になって感じることは、1つの漢方薬のみで症状を改善させることは難しいのが現状です。さらに附子末、桂皮末などを加味する必要があります。
小中学生にも2種類以上の漢方薬が必要なことがほとんどです。最近大人では3種類の漢方薬を必要とする方が増えています。

• 令和4年4月15日
  立花漢方内科小児科　立花秀俊